今日は、東山給水塔のご紹介。
皆さん、給水塔って知ってますか?配水塔と呼ぶこともあります。
水を塔の上の高いところにまで汲み上げておいて、その落下の水圧を利用して、各住戸の水道蛇口などに十分な流量の水を供給するための建造物です。
そんな実用用途を想わせないメルヘンな風貌をもったこの建物が東山給水塔です。覚王山駅から向かうと日泰寺のすぐ裏手にあり、日泰寺の山門から本堂を見た時にもしっかり目に入ります。
この東山給水塔は、1930年に建造された名古屋最古の給水塔です。築82年の歴史ある建造物。
かつては東山配水塔と呼ばれ、1973年まで覚王山地区一帯の高台地区への配水塔として使われていたそうですが、その後1979年から緊急時の給水設備という役割に変わったそうです。
常時300㎥の水(約10万人の1日の使用量)が蓄えられているのだそう。
余談ですが、高い建物の屋上に給水タンクがあるのを見た事がある方も多いと思いますが、あれも高所に水を汲み上げて、その落下の水圧(位置エネルギー)を利用して給水の水圧を確保しているんですね。大規模建物等では巨大な給水タンクが屋上に設置されていることが多いです。
たとえばこんなの…。あ、これは小規模か…。
一般の戸建てだと、水道管内の圧力だけを利用して給水していることが多いと思いますし、集合住宅などでも給水タンクなしでポンプ増圧して給水している場合も多くあります。
それぞれの方式には一長一短がありますが、こと災害時の断水に関しては給水タンクがあることが意外と大きなメリットになるようです。震災を期に、給水タンク(あるいは受水槽)の容量を確認し、どれくらいの期間水を賄えるのかを調べたマンションの管理組合も多くあるはず。
各建物にある給水タンクは、ひとつひとつは大きくなくても、都市全体で言えば巨大な貯水ダムのようなもの。建物の設備仕様もこういった観点からの選択が必要なのかも知れません。
話がそれましたね…。もとにもどします。
東山給水塔は、名古屋市の都市景観重要建築物等指定物件にも指定されているランドマークです。誰もが一目見たら「かわいい!」「おもしろーい」と声を上げそうなこの外観。その大きな特徴は、なんともいえないカーブを描いたそのトンガリ屋根です。蔦の絡む胴体(?)部分の色とマッチし、いい感じに斑な屋根の色。これこそが東山給水塔の最大のチャームポイントだと言えるでしょう。
でもこの屋根、建造当初はなかったもので、1983年の改修工事の際、展望台の設置とともに作られたものだそうです。
ちなみに、屋根のない東山給水塔の姿がこちらに掲載されていました(昭和初期の名古屋「配水池及配水塔(東山給水塔) - Network2010 ※このサイト素晴らしい)。
うーん、何だか別人のようですねえ。そっけなさすぎです。この姿を見た時、まるで、友達の家で中学校の卒業アルバムの写真を見つけて、「あ、ごめん…見ちゃった」と謝るような決まりの悪い気持ちがしました。
このチャームポイントの赤いトンガリ屋根、名古屋市民の要望に応えて作ったのだそうです。あっぱれ名古屋市民!グッジョブ!名古屋市水道局。
姫ヶ池の交差点から見た給水塔です(電線が邪魔な写真ですみません…)。
遠くから見ると、給水塔のふもとでは、ムーミンたちが穏やかに暮らしていそうな気がしなくもありません。
さて、この東山給水塔、以前は毎年春分の日と8月8日(まるはちの日-名古屋市が制定した名古屋市の記念日)に一般公開され、敷地や塔の中に入る事ができたのですが、現在は工事のため一般開放を停止しています。一般開放再開の予定は未定ですが、開放中止の理由が平成25年度まで東山配水場内に新たな配水池を作るための工事が実施する、ということなので、2014年の春か夏には再開されるのかもしれません。
今日は雨。スマホで撮った写真の出来が悪いですが…、 いつ見ても不思議な気持ちになる東山給水塔です。
交通 名古屋市営地下鉄覚王山駅 徒歩10分
公開 現在は公開されていません(平成25年度まで実施の配水池工事のため)。以前は、他の名古屋市水道局配水塔(平和公園アクアタワー・鳴海配水塔・猪高配水塔、これらは今も公開)とともに、春分の日と8月8日の年2回公開されていました。公開再開については未定。